令和8年分年末調整は去年と比べて何が変わる?
26.9.18
『令和8年分の年末調整は「昨年と同じでいい」では間違えます!』
令和8年分の年末調整は、昨年までと同じように処理するだけでは、控除額の適用や扶養親族の判定に注意が必要です。
近年の物価上昇への対応などを背景として、令和8年4月の税制改正では、基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の見直しなどが行われました。
そこで今回は、令和8年分の年末調整を行う際に、特に確認しておきたい改正点を3つに分けてご紹介します。
少しポイントを押さえておくだけで、年末調整の処理がよりスムーズになりますので、ぜひご確認ください。
基礎控除が引き上げられます
令和8年分・9年分については、給与収入が655万円以下の場合、所得に応じて基礎控除に一定額が上乗せされます。
そのため、これまでと同じ基準で考えるのではなく、令和8年分の所得に応じた控除額を確認することが大切です。
| 合計所得金額 (給与収入のみの場合の収入金額) |
改正後 | 改正前 | ||
|---|---|---|---|---|
| 令和8・9年分 | 令和10年分以降 | 令和8年分 | 令和9年分以降 | |
| 132万円以下 (200万3,999円以下) |
104万円(※) 62万+42万上乗せ |
99万円 62万+37万上乗せ |
95万円 | 95万円 |
| 132万円超〜336万円以下 (200万3,999円超〜475万1,999円以下) |
62万円 (改正後の原則) |
88万円 | 58万円 | |
| 336万円超〜489万円以下 (475万1,999円超〜665万5,556円以下) |
68万円 | |||
| 489万円超〜655万円以下 (665万5,556円超〜850万円以下) |
67万円(※) 62万+5万上乗せ |
63万円 | ||
| 655万円超〜2,350万円以下 (850万円超〜2,545万円以下) |
62万円 (上乗せなし) |
58万円 | ||
(※)令和8年の基礎控除は、原則58万円に所得に応じた控除額の上乗せがあります。
給与所得控除の最低保障額が引き上げられます
給与所得控除についても、令和8年分・9年分は最低保障額が引き上げられます。
給与収入が190万円以下の場合、給与所得控除額は74万円となります。 なお、給与収入が190万円を超える場合については、今回の改正による変更はありません。
| 給与の収入金額 | 給与所得控除額 | ||
|---|---|---|---|
| 令和8・9年分 | 令和10年分以降 | 改正前 | |
| 190万円以下 | 74万円 | 収入金額×30%+8万円 (69万円未満の場合は69万円) |
65万円 |
| 190万円超〜220万円以下 | 収入金額×30%+8万円 | ||
(注)給与の収入金額190万円超については改正はありません。
✦ ポイント
基礎控除と給与所得控除の引上げにより、令和8年・9年は、給与収入が178万円以下であれば所得税がかかりません。
扶養親族等の所得要件も変わります
本人の所得税については、令和8年・9年は給与収入が178万円以下であれば課税されません。
一方で、家族を扶養親族等として判定する際の所得基準については、基礎控除の上乗せ分を除いた金額で判断することになります。
そのため、扶養親族等に該当するかどうかについては、これまでとは異なる点がありますので、確認しておきましょう。
特に確認しておきたい「19歳〜22歳のお子様」
今回の改正では、19歳から22歳のお子様がいるご家庭では、特に確認が必要です。
お子様の収入状況によって、扶養控除の対象となる場合と、特定親族特別控除の対象となる場合があり、それぞれ控除額が異なります。
年末調整の際には、お子様の年齢だけでなく、1年間の収入状況についても確認しておくと安心です。
| 区分 | 扶養親族等の区分 | 所得要件 (令和8・9年分が給与のみの場合の収入金額) | |
|---|---|---|---|
| 改正後 | 改正前 | ||
| 他の親族の扶養に入ることができる上限 | 扶養親族 同一生計配偶者 ひとり親の生計を一にする子 |
62万円以下 (136万円以下)(※1) |
58万円以下 (123万円以下) |
| 扶養には入れないが、扶養控除以外の控除が適用できる上限 | 特定親族(※2) | 62万円超〜123万円以下 (136万円超〜197万円以下) |
58万円超〜123万円以下 (123万円超〜188万円以下) |
| 配偶者特別控除の対象となる配偶者 | 62万円超〜133万円以下 (136万円超〜207万円以下) |
58万円超〜133万円以下 (123万円超〜201万5,999円以下) |
|
| 勤労学生(※3) (勤労学生本人に適用される控除) |
89万円以下 (163万円以下) |
85万円以下 (150万円以下) |
|
※1 改正後の原則基礎控除62万円+給与所得控除74万円=136万円
※2 特定親族とは、親と同居する19歳以上23歳未満の親族で、一定の所得(給与収入の場合、収入金額が136万円超~197万円以下)の人をいいます。
※3 勤労学生とは、中学校、高校、大学、専門学校及び一定の条件を満たす専修学校等の学生、生徒自身の合計所得が89万円以下(給与収入の場合、収入金額が163万円以下)の人をいいます。
まとめ
令和8年分の年末調整では、基礎控除や給与所得控除の見直しに加え、扶養親族等の所得要件も変更されています。
正しく年末調整を行うためには、扶養親族の年齢や収入状況を事前に確認しておくことが大切です。
特に、19歳から22歳のお子様がいる場合は、扶養控除と特定親族特別控除のどちらに該当するかによって控除額が変わるため、早めに確認しておくと安心です。
また、今回の改正については、人事・経理担当者だけでなく、従業員の皆さまにもポイントを事前に知っていただくことで、年末調整の手続きをよりスムーズに進めることができます。
ぜひ、このコラムを社内での周知にもご活用ください。
ポラリス総合会計
代表税理士 石谷晃一
